COLUMN コラム
短期留学体験記
短期留学体験記
69期アソシエイト
小林 一輝 小林弁護士詳細ページへ
当事務所では、勤続年数が数年程度の弁護士のうち希望者を対象として、アメリカのダラスで開催されるサマースクール(The Academy of American and International Law)に参加する制度を設けています(以下「サマースクール」といいます。)。サマースクールの期間は、5月下旬から6月末までの5週間となっており、アメリカ法に関する講義を受けるだけでなく、ネゴシエーションやリーガルライティングといった弁護士としてのスキルを高めるワークショップや模擬裁判を行ったりするプログラムもありました。サマースクールには、南米、ヨーロッパ、アジア、アフリカといった世界各地から、40名程度の法律家が参加していました(多くは弁護士ですが、裁判官や省庁あるいは企業の法務部から来ている方もおりました。)。
私は、当事務所に入所して2年目となる本年、サマースクールに参加する機会をいただきました。また、サマースクールへの参加に付随する形で、当事務所と繋がりのある海外の法律事務所や弁護士等を訪問させていただく機会をいただきました。具体的には、ハワイ、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ワシントンD.C.、ニューヨーク(いずれもアメリカ)、トロント(カナダ)、マドリード、バルセロナ(いずれもスペイン)、パリ(フランス)、ロンドン(イギリス)を訪問させていただきました。
以下では、この度の私の短期留学の体験について、説明したいと思います。
ダラスでは、平日は基本的にアカデミーの施設にて午前9時から午後4時まで講義やワークショップ等が行われます(昼休みは1時間)。時々、現地の法律事務所やロースクールを訪問したり、裁判所の協力を得て模擬裁判を行うこともありました。講師は弁護士やロースクールの教授、裁判官らが務めています。講義終了後は、サマースクールが主催するイベント(現地の観光、野球観戦等)に参加したり、近くのレストランに食事に行ったり、スポーツをしたりしながら、参加者同士の親睦を深めました。また、土日は講義等がありませんので、休養することもできますし、近郊の都市まで小旅行に出かけることも可能です。
ダラスはアメリカの中部に位置しており日差しが強烈で、6月でも連日30度を超える暑さでした。空気が乾燥していますので、日本のような蒸し暑さはありませんでしたが、慣れない環境での体調管理は重要です。ダラスが所在するテキサス州は肉料理が有名で、バーベキュー(日本で食べるような薄い肉ではなく、分厚い肉をホロホロにしたブリスケットが美味しいです。)やステーキのお店が至る所にありますので、肉をいっぱい食べて体力を維持していました。
前述のとおり、ダラスでのサマースクールの前後では、海外の法律事務所等を訪問しながら、各地を巡らせていただきました。
サマースクール前の時期には、ハワイ、シアトル、ロサンゼルス、サンフランシスコに数日ずつ滞在したのですが、ダラスでの生活を開始する前にこのような期間を経ることができたことで、時差への適応も含め、アメリカの生活にスムーズに慣れることができたと思います。また、滞在した各地で裁判を傍聴し、実際の裁判手続を確認できたことで、サマースクールの予習にもなったと思います。
サマースクール後の時期には、ワシントンD.C.、ニューヨーク、トロント、マドリード、バルセロナ、パリ、ロンドンを訪問しました。サマースクールの直後に、アメリカの弁護士からお話を伺うことができたことで、アメリカ法の理解についてさらに深めることができたと思います。また、アメリカやヨーロッパの裁判の傍聴を通じて法制度の違いを感じることもできたと思います。
当事務所では、弁護士としての視野を広げ、国際的な実務感覚を養うことを目的に、おおむね入所から3年目を目安として、全員に海外での短期留学を経験していただいています。この制度は長年にわたり当事務所の伝統として根付いており、多くの弁護士がこの経験を通じて、国際的な法務に必要な素養と視野を身につけてきました。
短期留学後には海外の法律事務所への表敬訪問(受入先により短期研修)などを実施していますが、訪問先は、当事務所がその時点で関係を深めている海外の法律事務所や国際案件の内容に応じて変動します。これまでには、ヨーロッパやアジアなど多様な地域への訪問等があり、現地の法文化や実務に触れる貴重な機会となっています。
さらに、多くの弁護士がこの短期留学を契機に英語学習に本格的に取り組みはじめており、国際的なコミュニケーション能力を高める良いきっかけにもなっています。希望される方には、その後の長期留学に向けた準備を含め、当事務所としてもサポートを行っています。実際に、短期留学の経験をもとに海外のロースクールへの進学や、海外の法律事務所での長期滞在・長期研修など経験した弁護士も多数在籍しています。
このように、当事務所では国際的な舞台で活躍する弁護士を育成するための制度と環境が整っており、将来的にグローバルなキャリアを志向する方にとって、大きな成長の機会をご提供できると自負しています。
※なお、短期留学先、その後の訪問先、短期留学の期間など、短期留学全体の内容は、本人の英語能力やこれまでの海外での生活経験、及び当事務所が将来的に重点を置く業務や求める教育効果を勘案の上で、各回毎に異なります。上記小林弁護士の体験記は本年実施された例の紹介となります。
以上